Il Cannone

イル・カンノーネ。
イタリア語で「大砲」と言うニックネームを持つヴァイオリンがある。

有名なヴァイオリニスト、ニッコロ・パガニーニが使用したヴァイオリン。
この人ギターも弾けたし、ヴァイオリンとギターの曲もある。
ヴァカンス中(逃避中?)はギターだけ弾いていたなんて話もチラホラ。

使用していたギターもまた現存しているし、何とサイン入り!

しょっぱなからずれ始めているので軌道修正しましょう。。。


カンノーネはグァルネリ・デル・ジェズの代表作の一つと言ってまず問題はない一挺。

私がこの作者のモデルに取りかかったのは実は最近で、現在2挺目を製作しております。

これまではヴァイオリンはひたすらストラド型を作ってきました。
春の大阪での展示会の時の弾き比べインタビューでも少しお話しましたが
師匠から「お前はストラドが向いている」と言われたこともありますし
音の好みはストラドの方が好みでもあります。

そして、ある一定の基準を自分の中に作り出す作業も必要でした。
もちろん基準値や目標値が上がり続けて、終わるものでもないような気がしますが
他のモデルに行く前にやらなければならない事のハードルは高くしていたかもしれませんが
幸いそれを高くできた環境もあって、ようやくこのモデルに着手しました。

ストラドと勝手が違います。
左右非対称だし線の捉え方も違うし。
ただ、ラインはかなり綺麗。
素人目には左右対称でないことや摩耗が手伝ってガタガタにみえるものの
見るべきラインが見えてしまうと実はとても綺麗な楽器。

左右対称や杢理の不均一性は全て計算されてるなと言うのは作れば納得できるところ。
ただ、ストラドの均整美とは明らかに違う美意識。
機能美を優先させながら均整美をつじつまを合わせるような感じ?

響胴はそれでいいとしても、渦巻きはまた違うが
それでもしかるべき所を見るとしっかりとラインが整っている。
ストラドの渦巻きとは根本的にデザインが違うので
それに慣れるというか理解するというようなことが必要なわけで
単純に型を起こして精密になぞっても、これまたツマラナイものになってしまい
作者の”目”も入ってこないのでやはり面白みが消える。
消化する(昇華ともいえるか?)ことのむずかしさ。

”個性”という言葉もあるが、「自分はこうする」
みたいなものはあざとくなったり不自然だったり
結局のところ”どうしてもこうなる”部分が本当の個性だと思う。

そして、文化的バッグラウンドや生まれ育ったところなど
東洋・西洋だから発生する違い。も思い知らされるし理解し吸収しなければならない。
形が整っても、それが自然にみえるか?はとても難しい。

ま、ぼやいても仕方ないので
今日も木を削るのです。

あ、音のことも考えないといけないこの仕事
たのしいです。

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こちらは現在進行中

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こちらは1挺目

このモデルは面や線の精緻さよりもバランス感覚を最優先します。



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